日本における大学進学率と学位取得率についてざっくりと

はじめに

先日Twitter

といった画像が流れてきた.画像を要約すれば「学位取得率は日本だけ男性が多い」といったもの.これの確認.
ついでに「学位取得率が50%とかそんな少ないわけ無いでしょ」みたいなツイートも見られたのでそれの確認.

但し厳密に測ろうとすると過年度高卒者や留年生など考える必要のあるものが多すぎるのでざっくりと考える.

またこの記事には計算過程で2,3%の誤差があるというレベルの誤りが含まれています.また煩雑さから若干投げているところがあります.

データについて

はじめにで記したツイートのデータ元はOECD

である.グラフ名は% of 25-34 year-olds who have attained tertiary education (2014)なので直訳すれば25-34歳における第3期教育達成率(2014),要するに一番近い言葉では学位取得率だろうか*1
第3期教育とは日本においては継続職業教育・訓練施設及び高等教育(専修学校専門課程,大学,短期大学,大学院,大学院大学高等専門学校)を指す*2
OECDのツイートにはRead more hereとあるので見てみれば,ツイート用ではない凡例をまともにしたグラフと若干の解説がある.しかし見逃しがなければtertiary educationの定義がなさそうなので以下ではattained tertiary educationを学士取得率及び短期大学士取得率と仮定する*3

大学進学率

さっさとデータを見ていく.参照するデータは学校基本調査の年次統計の進学率.また以下において単に大学と言った場合は短期大学は含まない.進学と言った時は現役及び過年度高卒者の大学ないしは短期大学への進学のみを指し,大学院への進学は含まない.

まず大学への男女別の進学率をグラフにすると以下の通りである.

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特に2011年の大学進学率は男56.0%,女45.8%,計51.0%である.

短期大学進学率

では続いて短期大学への男女別の進学率をグラフにしてみる.

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特に2013年の短期大学進学率は男1.1%,女9.5%,計5.3%である.

学位取得率

同様に学校基本調査の高等教育機関への入学状況を見てみれば平成23年度の大学及び平成25年度の短期大学入学者(過年度高卒者含む)はそれぞれ612858人,64653人である.平成26年度の大学・短期大学卒業者はそれぞれ565573人,58797人である.
つまり留年がなく卒業もしくは退学等と仮定すれば入学者の学位取得率はそれぞれ92.3%,90.9%程度となる.
進学率と併せれば2014年度学士取得率及び短期大学士取得率はそれぞれ47.1%,4.8%である.

結果として2014年度の場合学位取得率は51.9%であるが学士取得率と成ると47.1%である.

そういえば男女別はどうなの

面倒くさいことに先の統計のページだと男女別の卒業者が見られないので今度は文部科学省学校基本調査のデータを見なければいけない.
ところでここで問題があって,大学院入学者や大学卒業者は男女別の人数が書かれているのだけれど,大学入学者はそれがない.そのためここでは男女が同じ割合で留年・退学するものとして計算する*4
さて2014年度の大学卒業者・短期大学卒業者はそれぞれ男310606人,女254967人,計565573人,男5923人,女52874人,計58797人となっている.男女比はそれぞれ55:45,10:90程度となった*5.ここから2011年度の大学入学者及び2013年度の短期大学入学者をそれぞれ男337071人,女275787人,男6465人,女58188人とする.
さすれば2014年度学士取得率は男51.5%,女42.4%,短期大学士取得率は男1.0%,女8.6%とできる.
したがって2014年度の学位取得率は男52.5%,女51.0%である.

OECDのデータと見比べて

そもそもOECDのデータは% of 25-34 year-olds who have attained tertiary education (2014)だったので実際は25-34歳のデータを取らなければいけない.
取り敢えずOECDのデータ上では大体男42%,女31%程度になっている.
短期大学士取得率を含むと男女でこんな差が出ないと思うので*6attained tertiary educationは恐らく学士取得率のことを言っている.
2014年度の学士取得率男51.5%,女42.4%を基点として,過去10年分の大学入学率を勘定してみると学士取得率は

年度
2000年 43.8 28.4
2001年 43.2 29.5
2002年 43.3 30.5
2003年 44.0 31.0
2004年 45.4 31.8
2005年 47.3 33.2
2006年 48.0 34.7
2007年 49.3 36.6
2008年 50.9 38.4
2009年 51.5 39.9
2010年 52.0 40.8
2011年 51.6 41.3
2012年 51.2 41.3

と概算できる.平均を取ってみれば2014年における25-34歳程度の学士取得率は男47.8%,女35.2%となる.OECDのデータと比べてみると4,5%高い.

一応の総括

実際今回の計算は概算もいいところでやってはいる.多分もうちょっとちゃんとやろうとすれば,各年ごとの入学者をきちんと取って,e-statではなく文部科学省の方の学校基本調査の概要には各年度毎の卒業者における入学年度の割合が載せてあるのでそれを考えて*7……などと色々やる必要があると思う.
それを見てみれば4年制大学は大体90%が卒業していることに成るので多分今回の結果は大体正しい*8
となると入学年度だの卒業年度だので取ってくるデータをどっかでミスった可能性が一番高い.一個人が適当に計算した結果よりはOECDの方が信用できるでしょうんで.2011年度大学入学者の学士取得率の計算で92.3%って出たのが若干高いにしてもさすがに5%なんて誤差は出ないと思うんだけどもまあどっかでミスがあるんだろうなって.

あと韓国とか他数ヶ国はOECDのデータがあってるってツイートを見たので多分日本も正しい,多分.

おわりに

ヒトには計算はしんどい.

おまけ:男女別大学・短期大学進学率の合計

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女性の短期大学進学率が男性に比べて非常に高いので合計を取るとほとんど差がないという話.

*1:attain a degree:学位を取得する

*2:実際は高等教育としてコミュニティ・カレッジ等も含むが日本には存在しない.

*3:2005年の学校教育法改正により短期大学卒業にて称号準学士から学位短期大学士が得られることとなった.

*4:はじめにで記した誤差が生まれるところ.というか男女別の入学者のデータがなければOECDのそれってどうやって出したのだろうか? 考えられる手段としては人口を取って男女の割合を取って……と考えられるのだけれどよくよく考えれば大学って30歳とかでも入学する可能性はあるので……いやまあ深くは考えずにいこう.多分何らかの方法があるのだと思う.

*5:2011年度の大学入学者・2013年度の短期大学入学者の割合と比較すれば分かるが大差ないので同じ割合で留年・退学するとした仮定は凡そ正しい.

*6:最後に示すけど大学・短期大学入学率の合計は男女で大差がない.

*7:ここまで書いてこのデータが有ることに気が付いた.無駄な計算をしていたなあと.

*8:今回の計算で出した学士取得率を参照